自彊術memo-3    
 第1動〜31動


〈静的ストレッチ〉:目的の筋肉をゆっくりと伸ばし適度に伸びたところでその姿勢を一定時間保持する。〈動的ストレッチ〉 :反動をつけずにスピードをコントロールして、関節を繰り返し動かすことにより、目的の筋肉の伸張と収縮を繰り返す。エアロビクスなどに取り入れられている。〈バリスティックストレッチ ballistic stretching〉 :反動をつけ弾むような動作で筋肉を伸ばす。柔軟体操やラジオ体操はこれに当たる。自彊術も反動、弾みを付けるので、「バリスティックストレッチ」に分類されると思う。 身体の各部位を十分に、極限(できる限りだが)まで動かすには、弾みをつけた方がやりやすい。軽く弾みをつけて、緊張と弛緩のリズムを作り、これを繰り返すことによって、交感神経と副交感神経のスイッチがオン、オフ、オン、オフ・・・と切り替わる。これによって、バランス機能が蘇り、動きやすく、疲労を残しにくくなる。

 号令発声】
自彊術は、第1、2、4動を除いて全て号令発声を伴う。各動作ごとに深呼吸の呼気を行うことになるので、発汗作用が旺盛になり、腹の鍛錬にも効果が大。力を込めてあらん限りの声を腹の底、丹田から出す。また、号令発声を各動作の終わりに掛けることによって、その動作が自分の限度一杯までいったことが確認できる。力を振り絞るには、呼吸も振り絞ることが大事。なお、呼気を重視する呼吸法を「釈迦の呼吸法」と呼ぶことがあるが、能動的に息を吐こうとすると、自然に腹式呼吸になる。 【端座の姿勢】第1〜12動までは端座の姿勢で行う。目は正面に見て、両肘を伸ばし、両手の指を揃えて膝の上に置く。両足の親指を並べ、膝頭を揃え、上体を直立して六点で座る。(六点座り:膝頭の二点、両足親指の二点と両くるぶしの二点。)
 【礼】 右手を膝前7cmに扇子を置くように出し、その上に左手を重ね、両肘を屈して畳に付け、重ねた両手の上に額を載せて礼拝する。両肘を屈する時に息を吸い、礼拝の時に息を吐く。(「礼」は自分自身に気合を入れ、精神を集中させるためである。)

   【1】  1〜12動は、上半身の運動

 第1動 下腹を抱え肩を上げ下げ 20   (下腹抱え)    (1、2、4動は号令発声なし

肘を伸ばして下腹を十分抱え込む。手の組み方は、手首で直角に曲がるくらいに十分広げた方が抱えやすい。組んだ手の小指が腹壁に直角に当たるようにし、力を込めて肩をぐんと上げる。肩が上がる分だけ下腹が抱え上げられる。肘を真っ直ぐにしておくのはそのため。 腹もみ(按腹:腹部をもむ按摩)。
腕と脇の間から向こうの景色が見えないように。即ち、脇は締める。

【呼吸】(切迫呼吸、逆腹式呼吸) : 下腹を抱えて肩を上げる一瞬、鼻から吸気し、組んだ手を臍下丹田セイカタンデンまで上げる。次ぎに、肩を下げて、手を元の位置に戻す。同時に口から息を吐き出す。呼吸時、腹をいつも引き締めている。この逆腹式呼吸をすると、腹腔にある内臓器官への血液循環がスムーズに行われ、胃腸の運動を促進する効果がある。さらに、腹腔内の分泌機能が整えられるため、ストレス抑制や老化防止などの効果もあるそうな。また、逆腹式呼吸は背筋がピンと伸びていないとできないので、姿勢も正される。
 1、2、4動は号令発声なしの切迫呼吸であるが、他の28動作では、動作の終わりに号令と共に息を吐き出す。(自彊術では呼吸の呼気を重んじる。体内を巡って汚れた気を素早く体外に出すために、勢いよく号令と共に息を吐き出す。その反動で一瞬の間に、きれいな気が吸い込まれる。)

第2動 肋骨を抱え肩を上げ下げ 20
   (肋骨抱え)    (1、2、4動は号令発声なし)

視線は真っ直ぐ正面。4本の指を肋骨の下に差し込み、掌を肋骨、胸壁に密着させ、両肩を耳に近づける気持ちで引き上げる。(腕と脇の間は三角形に空く→景色が見える) 口から息をハーッと吐き、肩をストンと下げる。指は緩めない。 この運動は肝臓を揉んで肝胆血流を増加させるので、”肝臓もみ”とも称する。



第3動 手を組み胸郭を開く 20   (胸開き

「用意!」の号令で、両肘を顎の下でくっつける。
「イーチ」の号令で弾みをつけて一文字に開く。肘が耳の後ろまで来るよう、しっかり開く。
頭を動かさないように気をつける。
肩と肩胛骨のマッサージである。


 第4動 肩を上下に 20
   (肩上下   (1、2、4動は号令発声なし)
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両手を背後でしっかり組み合わせて、肘をぐんと伸ばす。両方の肩甲骨が背骨に近寄って、僧帽筋が弛む。この状態で肩を上下すれば、僧帽筋の按摩、マッサージになる。
「顎を引いて!手を弛めるな。肘を曲げるな!」
(僧帽筋) : 後頭骨に始まり肩甲骨や胸椎に張り出している背中の表層にある筋肉で、重い頭(5kg、11ポンドのボーリング球の重さ)や左右合わせると10kgもある腕を支える。
僧帽筋の奥側には多数の筋肉(肩甲挙筋、胸鎖乳突筋、頭半棘筋ハンキョクキンなど)があり、その上から風呂敷のように覆いかぶさっている。
背筋を伸ばし胸を張るのは僧帽筋の役割で、動作の有無に関わらず、胸部の姿勢を保つために働いていて、疲れてくると猫背ぎみになる。

 第5動 胸郭を広げ肩を回す 20x2   (肩回し

腕を使って上体を捩り、背中、胸、脇腹を一緒にマッサージする。まず、左腕と上体を右に引っ張って身体を捻ることにより、肩甲骨の周りの筋肉を伸ばす。次ぎに右手の指で左掌を挟んで左に押しやりながら胸腹筋を横と斜めにストレッチする。両肘を肩の高さに保ちながら、手の親指が鎖骨に沿って通るようにする。

次の第6動から頭の運動に入る。第6、7、8動の首振り運動は、頭を錘としてハズミを付けて振り付ける。7つの頸椎が真横、前後、左右に連続して運動する。頸椎の1人按摩、マッサージである。


 第6動 頭を左右に傾ける 12
   (首振り人形

首の力を抜いた状態で頭を左右真横に振り、首の筋肉を満遍なく動かす動作。顎は引くこと。(頭は5kg、11ポンドのボーリング球の重さ)
両手を身体の真横に真っ直ぐ下げて、目を開いた状態で行う。
@両手を身体の真横につけ、肘を真っ直ぐ伸ばす。指先を正面に向け、床に付ける。(身体を固定するため) Aイーチの号令で頭を反対の右肩に向かって激しく振り付ける時、耳たぶが肩の中央に付くまでやるのが理想。


 第7動 頭を前後に倒す 12   (前後

両手の指を揃えて膝頭の上に置き、肘をぴしっと伸ばしてしっかり身体を支える。顔はぐっと反らして天井に向ける。(額の上を見る意識) 「イチ」の号令で、頭をストンと前に落とす。(顎の先を見る意識) 「ニイ」で顎を伸ばす気持ちで今度は思いっきり上を向く。背骨を真っ直ぐにして、首に力を入れないで、頭を錘のように振る。動作で大切なことは掛け声で、顎が胸に付くまで弾みを付ける。
上体が曲がらぬように両腕の肘をきちんと伸ばして、膝の上で支えておく。また、振る頭に力を入れないように注意する。



 第8動 頭を左右に回す 12   (水平

顎は上げず、グッと引く。目を瞑らないように。
「頭カシラを右へ、左へ!」の動作にハズミを付けて、顎を肩の上に極限まで振り向ける。



     次の第9〜12動は、上半身の運動の内、推拿スイナ術(指圧)である。  )

 第9動 首筋を手刀でたたく 6x3x2   (首筋・真横 -  斜上を見て - 天井を見て


@背筋を伸ばして、左手は膝の上に置く。頭を右に十分傾け、右手で手刀を作り、左耳下4cm(顎の骨の下)ほどのところの首筋・胸鎖乳突筋(凝ると、首凝り、緊張性頭痛、・・)に手刀をセットする。号令を掛け、手を大きく伸ばしながら、パッパッと叩く。叩く毎に肘を伸ばす。
A次ぎに、顔を左斜め上方向に向け、顎の(斜めの)線の下、俗にエラのところを軽く6回。(ココは押すと唾液が出る。歯のCaは酸で溶け、唾液でのみ補給可。)  
B次ぎに、顔をのけぞらせ、顎の直ぐ下、喉仏の上のトコロを6回。手は正面から来るようにしながら叩く。
首の内面には心臓と頭を結ぶ血管や神経が集まっている。全身への血流を促すのに最も適したトコロ。甲状腺や唾液腺の内の顎下腺ガッカセンへの刺激効果もある。

胸鎖乳突筋 : 胸骨と鎖骨を起始とし、、頭蓋骨の耳の後ろ(側頭骨)の乳様突起をつなぐ筋肉。凝ると、首凝り、緊張性頭痛、目眩、耳鳴りが生ずる。
鎖骨 :
胸骨と肩甲骨を連結し、肩構造を支持。また各種筋肉の起始基盤として機能。

 第10動 盆の窪を手刀でたたく 6x2  (盆の窪

僧帽筋は盆の窪の両側で頭にくっついて、頸を通って肩、背中まで広がっている。この付け根が天柱で、その横に風池のツボがあり、一緒に叩くことになる。大脳の部位
「ぼんのくぼ」は、頭蓋骨と頸椎の繋ぎ目の真ん中にあり、触ると少し凹んでいる。この中は延髄(髄脳)で、頭を挙げた姿勢では頭蓋骨と頸椎に覆われているが、俯くと骨で覆われていなく、急所。
中枢神経系は脳と脊髄から成る体の中心を通る神経で、体の末梢と連絡する末梢神経に指令する。脳の最下部が延髄であり、脳の延びた部分の意。

 第11動 額のツボをたたく 6x2   (引堂
@天井と平行になるくらい、顔を後ろへ反らせる。肘は1回ごとに真っ直ぐ伸ばし、耳に付くくらい。
Aたたく場所は「引堂」。両眉毛の中央にある。仏像の額に玉が埋まっていたりするトコロ。
正しくは、眉間に白い毛が渦をまいていてる。白毫相ビャクゴウソウと呼ばれ、釈尊を偶像として表わす場合の32相の1つ。
(美容の世界では、引堂は鼻を高くするツボだとか。)



  第9〜11動の”叩く”は、一気に続けて行う。

 第12動 目の周りを押さえる 2   (   - -目尻-目頭-目玉
     ツボ位置は付録にもあり
上半身の運動の仕上げ。、自彊術の中でも特徴的な目の運動。目の周りには多くの神経とツボがある。
@腕を横にして、中指の指先で両目の上の骨の角っこ中央の凹み。          上明ジョウメイのツボ
A腕を横にして、中指の指先で両目の下の骨の角っこ中央の凹み。           承泣ショウキュウのツボ
B腕を縦にして、中指の指先を両目の目尻の1cm外の骨の凹み。         瞳子りょうドウシリョウのツボ
C腕を縦にして、中指の指先を両目の目頭に当て、その際の骨の凹み。      晴明セイメイのツボ
D肘を閉じ、手の平を頬に置き、瞼開閉の後、3本の指先で眼球を軽く押しながら下ろす。   眼ン玉

          上明ジョウメイ       承泣        瞳子りょう(ドウシリョウ)    晴明           .眼ン玉
眼窩は、頭蓋骨(トウガイコツ)前面中央にある眼球等を入れる一対の凹み。頭蓋骨は頭蓋、顔面を形成する骨格の総称。

     《 以上、1〜12動は、上半身の運動 》

   【2】   13〜15動は、足を伸ばして、腹筋、背筋、腰筋の運動  カイロプラクティツクに入っていく。)

 第13動 両足を伸ばし前屈 20   (前屈

両足を前へ真っ直ぐ伸ばし、膝の裏を床に付けて座る。踵は床と直角にしてアキレス腱を伸ばし、爪先を立てる。この動作の狙いは下肢の裏側。膝は決して曲げない。足首をピンと立たせる。

両手の親指を組み、残りの指は揃えて、両手の人差し指同士を付け、膝の上に置く。お臍を引っ込めて背筋を伸ばし、少し反る。

    「イチ」の掛け声で上半身を前へ倒す。肘、指先を伸ばし、両手が足の親指すれすれのトコロを通るように、身体を真っ二つに折るようなイメージで曲げる。



 第14動 腹筋を締めて腕立て伏せ 10   (腕立て伏せ

両手は胸の幅(肩幅より狭く)に開き、お腹を引き締めて、視線は90cm前方を見る。
(お尻が下がらないように注意する。)


 第15動 脊柱を矯正 20   (背骨反らし
  天井の奥を見に行く       
@膝を床に付けて腰を反らし、顔は天井と平行に保つ。
A両足の甲を床に付け足の親指同士をくっつけ踵を「ハ」の字に開く。
B恥骨を基点にして、上半身と頭を後ろへ反らす。掛け声を掛けながら、さらに頭を後へ反らす。
C肘を曲げず肩を後に引き、肩甲骨を中央に寄せる。頭を揺らさない。
前半で頭をできるだけ後方に反らせる。後半では天井を見ながら一段と反らせる。頸筋から腰部までの脊柱をしなわせて、自分の体重のハズミによってさらに極限まで脊柱矯正をする。
   (ただし、2回目の繰り返しの時の第15動はストレッチとして行うので、『さらに頭を後へ反らす』ことはしない。)
      《 15動の「背骨反らし」で締めくくります。 》


   【3】   16動からは、立って、手、足、腰の運動


 第16動 真っ直ぐに立ち両腕を振る 40   (両腕上下40

身体がぶれないように腹をグッと引き締め、肘が曲がったり両腕の間隔が広くなりすぎないように注意。
@両足の踵を付けて直立。両手の平は太ももに軽く付ける。
A「イチ」の掛け声で、耳を擦るように狭く、両腕をできるだけ高く振り上げる。腕が耳より後まで行くように振る。(真上で腕を止める。)
B肘は曲げず、手の平は内側に向けて伸ばす。天井から引っ張られているようなイメージ。
C「ニイ」の掛け声で、両腕を思い切り下へ下げる。後ろに振り下ろした両腕は広がらないように、肩の高さまで振る気持ちで。前屈みにならないように注意。
手の振り上げ、振り下げは、手を広げた万歳の型では駄目。両腕の間を狭めてやらないと効果がない。


 第17動 片腕ずつ前後に回す 10x2x2   (片腕回し 各10)  腕回し各10回

この動きは、手をやたらに早く振り回しても意味はない。
腕の付け根から、丁寧にゆっくりと行う。
身体が揺れたり捻れたりしないように、顔とお臍をしっかりと正面に向け、肘を真っ直ぐに伸ばすのがポイント。
1回転ごとに確認しながら、大きくゆっくりと回す。水車が回るところをイメージするとよい。

腕に力を入れず、十分に伸ばしたまま、気楽に素早く回転させる。




 第18動 両腕を一緒に回す 10x2   (両腕回
10) 爪先揃え

足を揃える。爪先を揃えるのは、左右の腕が平均に回るようにするため。
肘が曲がらないように注意する。

両腕が揃って回せるのは若い人。中年以上になると、必ず少し左右違っている。しかし、この運動を続けることにより、正常化する。


 第19動 腰を捻り背中をたたく 20x2   (背中叩き−片腕)
腰を十分に捻るために、手を錘代わりに使う。弾みをつけて素早くたたくのがコツ。
爪先を60度に開き、踵を付けて直立。顔は正面を向き、左手を肩の高さに上げ床と平行に伸ばす。
前回し:首すぐ下の背骨を掌で、後回し:甲で左の肩甲骨の下部を叩く。
脊柱の周りの強直している筋肉群を伸ばし、柔らかくするための運動。腰を捻るのは筋肉を伸ばすためで、その伸びたところを打つので効き目がある。




  第20動 両腕で背中の上下をたたく 20   (
背中叩き両腕−腰を回す)

   【4】   21〜23動は上半身のストレッチ

 第21動 両足の爪先をつかみ屈伸 10   (爪先つかみ屈伸 10) 前を向いて


右下図、親指と人差し指で足の親指を掴み、他の手の指は足で踏みつける。

この運動の目的は、手の先から足の爪先まで体の外側の全てを平均に伸ばすことにある。



 第22動 腰を捻り上体を反らす 6x2   (上体反らし ) 

第21動の逆の体操。頭を十分後ろに反らしながら腰を捻る運動。
本態は脊椎矯正運動。腰椎に故障がある時は、必ず体がよろめく。
爪先を90〜100度に開き、右足を1.5歩前に踏み出す。
左足を軸足として、上半身を右に捻り正面を向く→上体を後ろに反らす。
コツは、足の位置と方向にある。残した足が45〜50度になっていないと、十分に反れない。
第21動で、頸部後面、背中の筋肉、腰の筋肉、下肢の裏側の筋肉を伸ばす。
第22動では、頸部前面、前胸部、腹筋、下肢の前面の筋肉を伸ばす。

 第23動 上体を左右に曲げる 20   (メトロノーム


@爪先を60度に開いて踵を付け、直立する。肘は伸ばし、両手の平を腿に付けて、上体を左に傾ける。顔は正面を見て、首と肩の力を抜く。
A「イチ」の掛け声で弾みをつけ、上体を右へ大きく傾ける。肘は曲げず、両手の平は腿から離さないように。
お腹を引き締め、肩と首の力を抜いて、メトロノームになったつもりで、リズミカルに上体を左右に振る。
これは誰にでもできる運動で、カイロプラクティク。ハズミを付けて左右に振る時に、垂らした両腕は決して曲げては駄目。身体にきちんと付けておく。


   【5】   24〜27動は、足腰の強化


 第24動 スクワットをして、すぐに立つ 20   (スクワット  爪先閉じて
自分の体重を錘として、股関節、膝関節、足首の関節を強化する。スクワットをして直ぐ立ち上がるというシンプルな動作。お尻が床に着くまでしゃがむ。
手の握り方 : 掌には2つの(ココロ、心臓系の)ツボがある。小指の下・中央に少府、掌の真ん中に労宮。(右図) 親指を内側に入れて握り拳を強く握ると、この2つのツボを同時に指圧できる。

 第25動でも同じ。
これは難しい運動で、コツは、踵を上げないこと。膝を曲げる時、膝頭をきちんと付けて、割っては駄目。自分の呼吸に合わせてゆっくりやる。そのための号令である。

 第25動 中腰にしゃがみ両手を突き出す 20   (ガニ股スクワット


両足を80cmくらい開けて立つ。爪先は、約80度外側に向けておく。
膝は必ず足先の向いている方向に開くこと。中腰に腰が下がった時、膝の屈曲の角度が、机の両脚のように直角になるようにする。
上体は真っ直ぐに保ち、前屈みにならない。




 第26動 両足を左右に開く 2   (大股開き


「股開き」。メカニズムの本態は股関節を開く。  (左足をまず開く)
両足を開けるだけ開き、開き終わった時、「イーチ」と号令をかけ、直ちに元の準備姿勢に返る。足の裏を必ず床に密着させて開いてゆく。小指も床に付けておく。前屈みは駄目、上体はあくまで直立。
骨盤は普通、30度の角度で前傾しているが、年とともに背筋、腹筋の支持力が弱まり、前傾の角度が広がってゆく。すると、骨盤の上に直立している脊柱が曲がってくる。中年以上の腰痛はほとんど、この骨盤の傾斜に抵抗する腰筋の緊張によって起きる。骨盤を支えている股関節を十分に開くことによって、骨盤の傾斜を防止する。


 第27動 腰をグッと落とす 20   (ガニ股カカシ

@両足の間を80〜90cmほど開け、爪先を約80度外向きに開く。正面を見て、首が肩にめり込むような感じで腰を落とす。A肘はしっかり伸ばし、親指を前にして掌で両膝をしっかり掴む。膝を直角に曲げる。
B「イチ、ニイ、サン・・・」の掛け声を掛けて、さらに腰を落とす。状態を真っ直ぐ保ったまま、相撲の股割のように、上体をグッグッと下へ揺すぶり下ろす。肘を曲げたり、前のめりにならないように。
また、膝は爪先と平行に保つ。股関節、膝関節を鍛錬するのが狙い。

   【6】       28〜31動は、血流と内臓の活性化

 第28動 両腕を振り身体を捻る 20   (水平振り) 両足平行10cm


両足を平行にして、10cmほど離して立つ。上体を後方に反らして肘を伸ばす。次ぎに、両腕を肩幅に平行に左方に伸ばしセットする。この時、両手の平は下に向け、肩の高さより下げない。
両手を分銅として、上体を急激に、極点まで捻転するのだから、手先に力を入れては駄目。腕を振る時には、両腕はあくまで平行にし、正面で半円形を描くようにする。左右に振り付ける時は、反り身の心持ちで、真後ろの人が見えるくらいに上体を捩る。また、振り戻した時は、腕が肩の高さより下がりやすいので、下げないようにする。前動までは、身体を縦横に伸ばしてきたが、この運動は斜めに伸ばす。


 第29動 両膝で床を打つ 20   (床打ち















まず女座り(両踵を開いて、お尻をその間に落とす)。そのまま倒れて仰向けになる。手を組んで両腕を伸ばす。両膝をできるだけ高く上げ、反動を利用して膝頭で床を打つ。

 第30動 両足を揃えてでんぐり返し 10   (でんぐり返し 10


この動作の目的は、背骨を真っ直ぐにすることで、腰椎から胸椎、頸椎まで順々に、背骨に自分の両下肢の重さをかけて、ぐぐ、ぐぐと押す脊柱矯正である。足先が向こう側の床に着くことばかり狙っては駄目。
今までやってきた運動で全身が柔らかくなっている。ココで最もハードな仕上げをやる。
脊柱から4、5cm離れた両側に、内臓諸器官の重要なツボが縦にずらりと並んでいる(自彊術memo-付録 Reflexology)ので、この第30動は自彊術で最も重要な運動である。

 第31動 爪先立ち踵打ち 10   (踵打ち 10) 
爪先揃え

これまでの動作で、脊椎骨が前後左右にずれてしまったのを整える。第1〜30動で、全身の関節が十分に伸ばされ、どこにも凝滞がない状態になっているから、このような激しい衝撃を与えても大丈夫。
踵からドシンと下りることによって、ふくらはぎの筋肉が収縮・弛緩して、脳への血流量が増大する。筋肉を通る血管への圧迫と拡張を繰り返し、血液を体の上部へ送り返すことができる。ふくらはぎは第二の心臓である。

 【ふくらはぎ】下腿の後面の膨らんだところをいい、古名は腓で「こむら」と呼んだ。ふくらはぎを形作っているのは下腿三頭筋で、この筋は浅層の腓腹筋(速筋)と深層のヒラメ筋(遅筋)の2筋からなる。普通、ふくらはぎといった場合は、深在するヒラメ筋よりも浅在する腓腹筋を指すことが多い。腓腹筋の強直性痙攣が、いわゆる「こむらがえり」である。

   引き続き、整理体操として、第1動〜第12動と第15動(但し、静的ストレッチ)を繰り返す。

 おまけ 最後に、首筋のストレッチ 

@ 右手を顎に当て、左手を右耳の上部に当てる。「イチ」の掛け声で左手を引きながら右手を押し、頭を左側に向ける。
A @の左右反対。
B 両掌を顎の下に当て、上へ押し上げる。
C 頭の後で両手を組み、「シイ」で後頭部を抱えるようにして頭を前に倒す。


胃と肝臓は肋骨の内側。ほじるようにして押しもむ。 【補足】
  (1) 31動の体操の順番は、@腹部、A胸・背部、B首・頭部、C腰部、D上肢、E下肢。  腹部から始めるのは、自律神経の中枢が腹部に集中しているから。 自彊術は、その以前、@〜Eの6つから、「六方伸展術」と呼ばれていたそうな。

  (2)第2動は”肝臓もみ”
右図に示すように、肝臓は右の肋骨の内側に、胃は左の肋骨の内側にある。肋骨の内側をほじるように押し揉むとよい。
肝臓は血管の塊のような器官なので、揉むだけで血液の流れがよくなり、機能が上がる。
一般に、内臓も筋肉でできているので、肩や腰が凝るのと同様に、内臓も凝る。例えば、食べ過ぎて疲れたり、ビールで冷やしたりすると内蔵も凝る。内臓の不調は、肩や腰と同様、揉みほぐすとよくなることが多い。内蔵をさするのは万病の予防になる。



       
                          




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【カイロプラクティック】 Chiropracitc  ギリシャ語の Chiro(手)と Prakticos(技術)を組み合わせた造語

代替医療の一つ。疾病の原因が椎骨の構造的、機能的な歪みにあるとの考えに基づき、その歪みを調整することで疾病を治療するモノ。
なお、椎骨(または脊椎骨:vertebra)は、脊椎の分節をなす個々の骨のことで、縦一列に並んでいる。ヒトの場合、上から頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎5個、尾椎4個の33個存在するが、仙椎および尾椎はそれぞれ癒合しており、仙骨および尾骨と呼ばれる。