プロローグ              獅子窟寺が気に入った


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2002年の正月にサイクリングで初詣ハシゴをした。獅子窟寺にもお参りした。『獅子窟寺の山道』は爽快だった。
この時に、獅子窟寺の修験者は『獅子窟寺の谷と山』を駆けて月の輪の滝で修行していたと知った。
私も、獅子窟寺から月の輪の滝まで駆けてみたいナと思った。
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獅子窟寺の初詣

2002年の正月に初めてお参りした。こんな急な坂が延々と続く参道は初めてであった。(MAPでみると、標高100mから200mまで上がっている。)ともかく自転車を押し続けた。昔からのそのまま、山寺の参道である。手がほとんど加えられていなくて、気持ちいい。
先代の住職さんの時に、このままでは息子に嫁の来手がないからと、やっと電気を引かれたのだと一緒に登ったご婦人が教えてくれた。この坂道を登るのが大変なので、昨年無くなった旦那さんは平地の寺にまつったとのこと。
さすが、登り着くと眺望は素晴らしかった。


       本堂(写っているご婦人と一緒に登った)
       

開基は役小角(エンノオヅヌ)と伝えられ、奈良時代、聖武天皇の勅願によって僧行基が(8世紀前半に)堂塔を建てたとのこと。平安時代には弘法大師が獅子窟で修業したそうな。真言宗高野山派に属し、本尊の薬師如来座像は平安初期弘仁期の榧(カヤ)材の一木造りで、国宝。

         国宝・薬師如来座像(薬師堂)
       


本尊 薬師如来像
獅子窟寺のご本尊の薬師如来坐像(収蔵庫)は、平安初期の榧の一木造で国宝(昭和43年に指定)である。
寺伝によれば行基の作とされ,両手先が後補ではあるが、ふくよかさに溢れる名品である。
翻羽式衣紋ホンバシキエモンが肩から足へと美しく流れていて、衣紋によって両足が覆われ足の先が見えない。光背には紫雲に乗った九躯の如来が見える。 http://www.kokuhoworld.com/bb43.html
(なお、同じ交野市の八葉蓮華寺・阿弥陀如来立像は重要文化財である。)



ゆっくり、参拝、拝観していると、ハイキング姿で登ってくる人も多く、常時、数名が境内にいた。住職の奥様が酒用の湯飲みを洗ったり、菓子を補充して下さったりで、大忙しだった。かわいい小学生の娘さんも手伝っていた。小生は、住職に挨拶を済ませた同じ年頃の檀家の男性と飲み交わし、暫し話し込む。

           天福岩(てんぷくいわ)                                              仁王門跡
      

参道途中、仁王門跡の先を左に曲がって降りていくと、王の墓がある。静かな落ち着いた多分、昔のままの佇まいが気に入って、2回訪ねた。
王の墓は、亀山上皇と皇后の供養宝塔らしい。なんでも、亀山上皇が本尊の薬師如来に病気平癒を祈られ、全快された喜びに、荒廃していたこの寺を再建された。1305年に上皇崩御の時、その徳をしのんで王の墓が建てられたとのこと。

王の墓の手前にあるお墓は、先住(先代の住職だろう)のお墓だそうで、残っている位牌の数は40数個。いろいろと奥様に教えていただいた。
境内には仁王門と鐘楼堂の基礎が残っていたが、これらの本院の外に全山12院があったが、大阪の役で全山焼亡したとのこと。立派な山寺だったのだ。


     王の墓はへの道は昔のままの佇まい                 奥に眠っている王の墓
      


境内を後にして石段を上り、府民の森くろんど園地こだちの道の中間点に至るべく山道に入る。(標高200mから300mまで上がることになる。道は当然急になろう。)
途中までは、獅子窟寺の山である。この山は全山花崗岩で、とことどころに風化に耐えた巨石が見られ、古来その形からそれぞれ名付けられている。獅子の吼える口に似た獅子窟で修行したので、「獅子窟寺」の寺号ができたらしい。
山道のところどころにいらっしゃる観音さまに片手拝みで失礼しながらバイクを押した。この山道の途中で右に曲がると、獅子窟寺の岩場めぐりコースになっていて、巨石をめぐって月輪の滝に至る。獅子窟寺の修験者はこの道は越えて、月輪の滝にやって来て修行したとのこと。一帯は天然の幽境だったのだろう。


     ところどころに観音さま                      花崗岩が削られた半地下?の道        ほとんど真上によじ登る坂もある
          


          峰道は気持ちがいい                      やっと、くろんど園地のこだちの路に至った