旭川シリーズ-3          石狩川を走る その3
 
                ( 層雲峡自転車道 )


8月12日、JRで旭川から上川カミカワまで行き、道北バスに乗り換え、10時20分、石狩川の上流部である層雲峡に着いた。


左写真、正面の山は黒岳。ロープウェーが見える。
五輪会の北海道旅行で、2年前に登ったナァ。



右写真、川沿いの道を進むと、フライフィッシングを楽しんでいる釣り人を何人か見掛けた。








まもなく、

 左写真の「流星の滝」(豪快な男滝)。

    少し上流側には

               右写真の「銀河の滝」(優雅な女滝)。









左写真、銀河の滝のすぐ上流。
大函オオバコ、小函コバコを流れてくるので、結構な激流だ。

遊歩道が駐車場の先で、行き止まりになっていたので上流側に行くには、銀河トンネルを抜けるしかない。
このトンネルは1995年に開通した北海道で2番目の長大トンネルで、延長が3388mあるそうだ。そんなことを知らなかったので、こんな中を懸命に走り抜けた。


その後、下流側の小函遊歩道にチョット寄ったが、まとめて後述することにして、話は上流側に進める。



右写真は、銀河トンネルを抜けた先で、石狩川を渡るライマン橋。
その先に、新大函トンネルの坑口が見えている。
(この辺りで、標高700m。)


新大函トンネルを抜けると、大函の古くからの売店、食堂がある。
お昼にはチョット早かったが、名物と言うソバを注文した。


大函、小函は帰りにゆっくり訪ねることにして、国道39号を石北セキホク峠方向に登る。


左写真、右手の道は北海道電力・大雪発電所への入口である。折角だからと、チョット寄り道。
ココからの道も静かで気に入った。


右写真、チャンと大雪ダムに行き着いた。


なお、層雲峡発電所、大雪発電所のことは、(社)電力土木技術者協会HPの中に紹介されている。




   (下の航空写真は、旭川開発建設部HP http://www.as.hkd.mlit.go.jp/kanrid.html#top より抜粋)

大雪ダム
石狩川本流最上部の大雪ダムは、昭和50年に完成しました。
多目的ダムとしては全国最初のロックフィルダム。
洪水調節・流水の正常な機能維持・潅漑用水の供給のほか水道用水・発電を目的としています。


■ロックフィルダム
■集水面積 291.6km2
■総貯水量 6,600万m3






大雪ダムを下から見た後、国道39号をもう少し登った。


左写真、大雪ダムの上から下流、大雪山方向。
タイミングよく雲が流れて、大雪山が見えている。
中央右下には、石狩川源流の流れも見える。
(この辺りで、標高800m)
ココで引き返すことにした。

右写真、リターンした帰り道は下りだ。
気持ちのいい道だった。




さて、いよいよ、大函、小函を上流側から下って順に見ていく。


左写真は、「大函」の看板が出ていた唯一のスポット。(売店・食堂のトコロ)
「大函」もココから見るだけになっていて、寂しいナァ。大函の雰囲気が感じられない。


右写真は、左写真のすぐ左手。
この橋も旧道のもので、本来は遊歩道である。
奥に見える坑口は旧の大函トンネル。
このトンネルの巻立コンクリートが剥落し危ないので、数年前から、通行止めになっているとのこと。

「もしも事故でも起きれば、この小さな町は潰れてしまう」と通行止め支柱の根固めコンクリートを打っていたオッちゃんが言っていた。
小さな生コン車のオッちゃんは、これは「お化けトンネル」だとも言っていた。
どうやら、心霊スポットらしい。坑口から数メートル先の暗闇にお地蔵様か何かが横向きに祀られていた。
(このトンネルは網走刑務所の囚人によって掘られ、重労働と栄養失調で多くの囚人が命を落としたと伝えられているそうな。)

この旧・大函トンネルを通ってスタートしたかったが、通行止めフェンス補強工事のオッちゃん達はなかなか引き上げそうにないので、諦めて、新大函トンネルを帰りも走った。
トンネルを抜け出た右手にある大函の遊歩道にも通行止の柵があって、簡単な補強工事をしていたが、挨拶をして通してもらった。



左写真、大函橋から真っ直ぐに旧・大函トンネルが延びていた。


右写真、トンネル手前から見た大函の景観。







帰りは銀河トンネルを通らずに、「小函遊歩道」を全線走った。(往路で、通行止め箇所が通れることを下見しておいた。)


左写真、小函遊歩道の始まり。



右写真、「神削壁」の看板のトコロから通行止めになっているが、フェンスを乗り越えて進む。










右写真、中央あたりの絶壁 (多分、「神削壁」と呼ばれる垂直に切り立った柱状節理)の大きな岩が剥がれ落ちていた。










左写真、落石現場。(自転車が小さく見える。)

右写真、対岸を流れ落ちるのは、錦糸の滝。










左写真、二つ目のフェンスの先に見えているコンクリートは旧道の天柱覆道。



右写真、フェンスを越えてから、上流側を写す。
どうやらココまでが当初の通行止め区間だったようだ。
(落石があったのは、先ほどの神削壁のトコロだけで、ココから下流は管理上の問題で通行止めかな。)





覆道の前の川沿いを走る。

左写真、「小函」の看板に続いて、「羽衣岩」、「姫岩」、「錦糸の滝」。
おそらく、小函のメインか。


右写真、この覆道が供用されたのは結局10年くらいだな。









左写真は、天城岩。


右写真、天城岩覆道を抜けると「天城岩」、「天柱峰」の看板。 
前方に、細く突っ立っているのが天柱峰だ。いつまでもよく立っていられるナ。









左写真、石狩川の流れも実にきれいだ。



右写真は、「雲井の滝」










左写真、やがて中央に不動岩が見えてきた。銀河の滝も細く写っている。

右写真、不動岩を見ながら走る。














左写真、一番下流側の通行止フェンス。これを越えれば娑婆だ。銀河の滝も迎えてくれる。


右写真、流星の滝を見て、めでたしめでたしだった。







崖崩れ等の危険もあって、道路管理者の国は長大トンネルを掘り、新道を建設し、旧道を遊歩道として地元に譲ったのだろう。
そして数年後、神削壁付近で大きな落石があった。
地元にはコンな危ない遊歩道を維持管理する財源は無い。人身事故が怖いから、通行止めにせざるを得ない・・・。 「国立公園」だというのに、チョット寂しい。


ぼくは『層雲峡』に憧れを持っていた。
40年も前だが、たまたま?現役で入学した高校時代の親友が層雲峡を旅して、浪人のぼくに絵葉書をくれた。
切り立った渓谷美の印象は強烈だった。
ところが、2年前に車旅で初めて訪れた層雲峡はあまりにもあっけなかった。
こんなので国立公園になるはずはないと思った。
それが今回の通行止め無視のサイクリングに繋がったのだ。
ぼくは層雲峡のホントの姿に触れることができて満足したが、ほとんどの人は期待を裏切られて帰っていくのではないだろうか。
このことは、地元の人にも訪れる人にも不幸なことだと思う。


最後に、親切な創業80周年の層雲閣グランドホテルの露天風呂に日帰り入浴(タオル付きで千円)して、旭川までバスに乗って帰った。